LONDON COLUMNING

ロンドンから音楽事情を発信していきます。音楽以外もたまにはね。

【COLUMN】小沢健二がフジロックのトリでも誰も文句言わないと思う。

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http://matome.naver.jp/odai/2139528301640994001?page=2

今日はちょっとコラム調です。何て言ったってこのブログのタイトルは「LONDON COLUMNING」なんですから、たまにはコラムのようなことを書かないといけない気がするわけです。とは言ってもロンドンネタではありません。日本ネタです。今日日本でいいともに出演した「小沢健二」というアーティストの話です。ロンドンネタを楽しみにされていた方(こんな場末のブログを楽しみにしてくれている人なんているのか疑問ですが)ごめんなさい。でも小沢健二を愛しすぎているんですよ、僕は、いや僕らは。

小沢健二が16年振りにTV出演

小沢健二が本日(日本時間20日)いいともに出演した。小沢信者の私は、ロンドンに来てからこんなにも日本にいられなかったことを後悔する日が来るとは思わなかった。できれば自分のテレビで、昼休みに三ツ矢サイダーでも飲みながら「小沢健二タモリ」を目撃したかった。何ならアルタに前日から徹夜で並びたかった。樋口毅宏がそこに並んでいても驚きはしなかっただろう。そんなことを考えながら、その動画がアップロードされるのを僕は部屋の片隅で小沢健二を聴きながら待っていた。

僕にとって小沢健二は特別なアーティストだ。おそらくそう思っている人はたくさんいるだろう。結論から言うと、小沢健二の魅力はそこに集約されていると思う。「自分にとって小沢健二は特別だ」と思わすことができる力が彼には備わっている。どういうわけか自分だけのモノだと思うことができるのだ。それこそが彼の最強の武器。小沢は特別なのだ。特別だと思ってしまうのだ。まるで華やぐ魔法にかかったかのように。小沢好きはそう感じてしまうのだ。

もう一度言う。小沢健二は特別なのだ。僕にとっても、あなたにとっても、僕の知らない誰かにとっても。

小沢健二は誰にとっても「特別」なのだ

小沢健二が特別であること、それは噛み砕くと「小沢健二と自分」というストーリーをみんな勝手に持っているんだと思う。誰かと恋に落ちたとき、遠くの街に引っ越したとき、旅をしたとき、もしかしたら大切な誰かを失ったとき、彼の音楽はそこに違和感なく存在できる。以前小沢健二がいいともに出たときの彼の演奏を隣で聴いたタモリの言葉を借りるなら「隣で聴いていても恥ずかしくならない」、それに尽きる。物理的な距離としての「隣」で聴いていても恥ずかしくないし、人生というよくわからない物体の「隣」に添えても微塵も恥ずかしくないのだ。

こんなエピソードがある。2年前の小沢健二のコンサートに当時の会社の上司(といっても一番仲良しの友達みたいな上司)と二人で観に行ったことがあった。普段は他愛もないことしか話さない僕らだったが、ライブが終わった後、彼は真顔で「結婚する前に小沢健二だけはこの目で見て、この耳で歌を聴いておきたかったんだ。ありがとう」と言った。もちろんライブ中は後輩の横で泣いていた。そんなことをさせてしまうのが小沢健二の特別感なのだ。彼にとっても小沢健二は特別なのだ。勝手に人生を重ねても恥ずかしくないし、何ならそれを人に知られても見られても恥ずかしくないのだ。僕だってそうだ。数ヶ月後彼は結婚した。結婚式のBGMはラブリーだった。僕はそこで泣いていた。そんな具合だ。

 今日だって小沢健二は特別だった

番組コーナー内で小沢健二が歌を歌い終わった後、最後に番組恒例の観客への質問コーナーで「搭乗券を持っていたけど、間に合わなくて飛行機に乗れなかった人」という質問をした。「僕はこの人何でこんな質問するんだろう」と嬉しくて笑った。ちなみに僕は今回ロンドンに来るにあたって、出発時間に間に合わず出発を予定から1週間遅らせることになるというトラブルに見舞われた。そんなことは大したことない出来事だったのだが、彼がこの質問をしたことでそのことが何か特別なことに変わった気がした。ただの遅刻だというのに。勝手に自分の遅刻を素敵なストーリーに解釈した。勝手に自分の遅刻に意味付けをした。ここで小沢があの質問をするはずだったから僕は遅刻したんだと。こうやって彼は人生にそっと華を与えてくれるのだ。それで僕は勝手にまたこう思うのだ。「ほら、小沢健二は僕の人生の隣にいる」そして「小沢健二は僕にとって特別」なんだと、「この瞬間は続く」んだと。

 

※僕の拙い小沢評より僕の前の務めていた会社の上司でもあり、野球・音楽評論家という前代未聞の肩書きで活躍しているスージー鈴木という方のHPの小沢評をご覧頂くと、もっともっと小沢健二を好きになれると思います。スージー師匠にとっても小沢は特別なはずだから。